路上の声
今年の3月からまた路上の声を集め始めました。今年は長崎を中心に活動していました。
仕事をしながらだったので、回数は多くはない方ですが、3年間で集まった声を纏めます。
(路上活動期間(2013年~2016年)
広島
◇「いきなりピカにやられたじゃけん。今年90になるけど、忘れられないねえ。
いきなりピカっと凄い光った後に凄い音がして、あれは、地獄じゃけん。あっ。飴。食べなさい」 (90歳:女性)
◇「わたしは、被爆2世だけど、子どもは産まないの。結構被爆2世ってだけで、
色々あって。子どもにまでそんな想いはさせたくないよ」 (女性)
◇「原爆ドームから右から見て、Pの大きな看板が見えるでしょ?あそこで被爆してね、
父と母と姉さんが一瞬で死んだ。資料館には68年経った、今でも一度も行ったことないよ。
あそこに、父と母がいるんだけど、68年経った、今でも行けないねぇ。
わしはね、2年前から平和公園に毎日来て、8時15分に手を合わせる。
それで、2年前からスズメに餌をやるようになったんだ。
最初は、どの雀かは解らなかったけど、今はどの子かすぐに解るよ。わしは、毎日、これが日課なんだ」 (87歳:男性)
◇「enjoy」 (インドネシア:男性)
◇「Hiroshima was visited for the first time. There were many cases that we don't know, and it was very shocking.」 (アメリカ:男性。女性。)
◇「持って行きますね。わたしたちの平和を」 (15歳:女性)
◇「毎年、夏の8月6日は、家にいるよ。沢山ひとが来るからね。外にも出れない。家で黙祷をする。
8月6日が原爆の日だからって、騒いでいるのは遠くから来た人たちだけで、本当に被爆して哀しみの癒えない人は、
6日は殆どの人があの日を思い出して、家にいるよ」 (72歳:女性)
◇「ずっと広島にいるけど、原爆とか興味ないよね。平和資料館とか一度も行ったことないし。」 (ラーメン屋:男性)
◇「ずっと20代の頃、広島に住んでいました。原爆を始め、色んな方のお話を聞いて、今を大事に生きて行きたいです。
今日はあなたに出逢えて良かったです。ちょうど、最近、引っ越して、久しぶりに広島に来たんです。色々、思い出すことが出来ました」
長崎
◇「毎年、9日を迎えるとね、今まで苦しかったことが嘘みたいに、
また生きようと声が聴こえて、また生きようと思えるの」 (80代:女性)
◇「長崎は、原爆投下の2回目だからね。広島より印象が薄い。それがたまに悔しくなるよ。
2~3秒だったかな。その後、凄い勢いで飛ばされてね、窓のガラスとか粉々に割れて・・・。ああ。思い出したくないな」 (70代:男性)
◇「ありがとう。嬉しいわ」 (82歳:女性)
◇「Nagasaki is a good town. But there was such thing in the past, and it was very shocking.
I think I'll think as an American.」 (アメリカ:男性)
◇「今の政治は駄目だね。我々のことなんか無視だ。毎日、新聞を見ては、怒りが込み上げるよ」 (70代:男性)
◇「今日のことを忘れずに、今を大切に生きて生きたいと思います」 (20代:女性)
◇「地獄だね。炎で煙で、周りには焼けた人間がいて。死んだ赤ちゃんを揺さぶる女の人がいてね。
自分も逃げるのに必死だったから声をかけられなかったよ」 (80代:男性)
◇「原爆はわたしたちで最後にして欲しい。孫が生まれてね、その孫の顔を見るのが今は幸せよ。
孫の時代には、原爆のない平和な世界になるといいわ」 (82歳:女性)
◇「僕たちはいつも忘れてないよ」 (7歳:男の子)
◇「あなたの集めた声、素敵だね」 (女性)
◇「Be silent.」 (中国人)
◇「Disappear」 (中国人)
◇「「原爆は原爆で悲しいけれど、わたしは今の世の中の方が悲しいです。
親が子を殺す時代。何年もかけて、生まれて育てた命が奪われる。今の世の中が悲しいです」」 (穴弘法寺福住職)
◇「命あるだけで幸せだ。」 (穴弘法寺住職)
関東
◇「原爆。うーん。あんま興味ないかな。過去のことだし。今は平和だからいいじゃん。
それで、それで、聞いてくださいよ。彼氏が最近、浮気して、あたし凄くムカついて」 (女性)
◇「僕、今、死にたいんです。学校でも上手くいかなくて、友達もあんまりいなくて、周りに付いていけなくて。
僕は、まだ高校生だから、原爆とかあんまり解らないけど、今日、少し生きる気持ちになってきました」 (男性)
◇「姉ちゃん、そんなのいいから、今から俺と遊ばない?」 (男性)
◇「そうね。忘れてはいけないことよね。今日はここに旅行に来たんだけれど、 こういう考えの方に出逢えて嬉しいわ。
わたしたちが今、ここで笑っていられるのも、過去があったからですものね」 (女性)
◇「今、自分に出来ることをやってみます」 (女性)
◇「過去があるから、今があるって考えは凄く共感出来る。
でも将来、わたしたちが年取った時代には年金なんか殆ど、貰えなくなる時代になるから、何か複雑です」 (20代:女性)
◇「この国の馬鹿な奴らの声なんか集めても仕方が無いよ」 (70代:男性)
◇「ありがとう」 (60代:男性)
◇「すみません。。。やっぱりいいです」 (10代:女性)
◇「もう少し勉強した方がいいよ」 (50代:男性)
◇「暑いけど、頑張ってください。これ。アクエリアスどうぞ」 (10代:男性)
◇「政治もつまんねぇし、バカばっかだな。俺は会社では結構エライんだけど、若い奴はアホばかりだよ」 (50代:男性)
◇「つまんない」 (50代:男性)
インターネット
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3年間でこの国は随分と変わりました。
情報化社会になり、今、時代が交錯する中で、国は揺れ、世界は軍事に溢れ。テロ。戦争。空爆。
この国も情報は溢れ、物は溢れ、自由というものが何か解らない状態です。
人々は、人を蹴落とし、誰かの荒を探し、それを批難し、金で何かが動く時代。
そんな中でも、やはり原点は「命」でした。
物を作ることにあたり、先代からの恩恵があるわけで、
わたしたちは、それを吸収して、自我にする。誰かしら影響されたものや事柄があり、
それが、自分や他者を成り立たせているということ。
人には原点があり、また自分にも原点があるということ。
原点。「生きる」
改めて、生きることは何なのか。と問うと、直ぐに見えてきました。
向き合う上で表現の幅を考えられずには、なる一方で、国の方針や社会の成り行きなど色んな速度で時代が変化する中で、
ただ変わらないものは、そこで、人が生きたか。死んだか。でした。
そして、何を想い、何に哀しみ、何に苦しみ、何に悦んだのか。
路上の声を思い出したとき、確かに其処にあったのは、「命」だと。
観た情報をそのまま鵜呑みにし、データを無視して危険を煽ることをデマ言います。
広島、長崎の原爆を経験なさった方々が今まで、自らを犠牲にし、後世へと被爆のデータを残してくださいました。
広島、長崎で亡くなった被爆者の方々、そして今も苦しんでる被爆者の方々。
そんな彼らから後世へと取ったデータを無視することは出来ません。福島も「フクシマ」ではなく、「福島」です。
原爆。自分の後世へ繋げたい想い。
そして、原爆は今は哀しみや悲惨さだけではありません。
そこで生きてきた人々の強さが在ります
生きることの難しさ。生きることへの喜び。生きることへの感謝。
よく考えてみてください。
誰だって、誰かを想い、そして誰かに助けられて、此処まで生きて来ました。
ひとりで生きて来られた訳ではない。
自分もそうです。今まで生きてこられたのは、家族始め、色んな人に支えられて生きて来ました。
大事なことは、普段は気が付かないものですが、今、また改めてひとりひとりが原点へ還る時ではないかと感じています。
今、何が大事なのか。人を想い、そして尊い。
失った命はその人間の中に生き続け、生まれた命に悦びを。
改めて、考える岐路ではないでしょうか。
2015/11/22 咲
(追記)2016/9/2 咲
(追記)2016/10/19 咲